新世紀エヴァンゲリオン 第伍話 「レイ、心のむこうに」 【解説】

第伍話 「レイ、心のむこうに」

綾波レイのお話。今まで見えなかった綾波レイの生活や人間関係などが見えて来ます。

ネルフ本部 第2実験場

22日前。ネルフ本部の第2実験場で行われたエヴァンゲリオン零号機の起動実験中、その起動過程でエヴァンゲリオン零号機は制御不能に陥り暴走を起こします。この暴走により実験は中止となり、エヴァンゲリオン零号機は活動を停止させるために電源ケーブルを切断されていました。しかし、電源ケープルを切断した後も体内予備電源へと切り替わったエヴァンゲリオン零号機は暴走を続けます。暴走する中、エヴァンゲリオン零号機は実験場の外壁にある窓を狂ったように殴り付けていました。その窓には碇ゲンドウの姿がありました。

暴走を続けるエヴァンゲリオン零号機ではオートエジェクションが作動し、エントリープラグが排出されていました。機体から排出されたエントリープラグは実験場の天上を伝って流れて行き、最後には天上から床へと落下していました。

エントリープラグ排出後も暴れ続けるエヴァンゲリオン零号機に対して実験場内には特殊ベークライトが流し込まれます。そして、特殊ベークライトを流し込んでいる中、エヴァンゲリオン零号機の予備電源が切れ、エヴァンゲリオン零号機はそれと共に活動を停止していました。

エヴァンゲリオンゼロ号機が活動を停止すると、碇ゲンドウは急いでエントリープラグへと駆け寄り、エントリープラグのハッチを開けようとします。エントリープラグは加熱されているようでしたが、碇ゲンドウはその熱さに耐えながらエントリープラグのハッチを素手で抉じ開けていました。

碇ゲンドウはエントリープラグ内の綾波レイの姿を確認して安心していました。綾波レイの事をとても心配していたようです。

綾波レイは第壱話「使徒、襲来」以来、怪我をした状態でしたが、この起動実験中の事故がその原因のようです。

起動実験での事故の原因は不明のようです。ただ、赤木リツコの推定では操縦者(綾波レイ)の精神的不安定が第一原因との事でした。

綾波レイ

綾波レイ。14歳。ファーストチルドレン。エヴァンゲリオン零号機の専属操縦者であり、過去の経歴は白紙で全て抹消済みとの事でした。

碇ゲンドウのメガネと手袋

碇ゲンドウは現在はレンズに色が入ったメガネを使用していますが、エヴァンゲリオン零号機の起動実験中の碇ゲンドウのメガネはレンズに色の入っていないものでした。このメガネは加熱したエントリープラグを抉じ開けようとした時に落として壊しています。

また、現在の碇ゲンドウは普段は両手に白い手袋を付けていますが、この起動実験中は素手でした。

シャムシエル建屋

沈黙した第4使徒シャムシエルがある場所には作業用の建屋が建っていました。

第4使徒シャムシエルはコア以外はほとんど原型を留めているようでした。赤木リツコはこれを理想的なサンプルと言っていました。

赤木リツコによると使徒は粒子と波の両方の性質を備える光のようなもので構成されているそうです。動力源に就いてはそれらしきものはあったようですが作動原理は不明との事でした。

使徒には使徒独自の固有波形パターンがあるそうです。使徒は構成素材に違いはあるものの、その信号の配置と座標は人間の遺伝子と酷似していて、99.89パーセント同じだそうです。

碇ゲンドウの掌の火傷

碇シンジはシャムシエル建屋の現場に来ていた碇ゲンドウを見付けます。この時、碇ゲンドウは手袋を外していたのですが、その掌には火傷の跡がありました。この火傷の跡を見た碇シンジは、それが起動実験での事故で碇ゲンドウが綾波レイを助け出すために加熱したハッチを抉じ開けた際に出来たものだと言う事を赤木リツコの話から知ります。

学校での綾波レイ

学校。碇シンジは起動実験での話を聞いてから綾波レイの事が気になっているようでした。

碇シンジ :
「どうしてあいつ、いつも一人なんだろうと思ってさ」

綾波レイを眺めていた事を相田ケンスケと鈴原トウジにからかわれ、碇シンジはこう答えていました。

いつも一人だった人間だからこそ何が原因なのかが気になるのかも知れません。友達の多い人間が同じ台詞を言うのとでは言葉の内にあるものが違って来る台詞のように思いました。

碇シンジは同じパイロットでも綾波レイとはほとんど口を利いた事が無く、どのような人物なのかも知らないようでした。

ケイジでの綾波レイ

ケイジには碇ゲンドウと言葉を交わす綾波レイの姿がありました。

綾波レイは普段は無表情ですが、碇ゲンドウの前では笑顔で会話をしていました。そして、碇ゲンドウは、碇シンジに接する時の厳しい顔では無く、優しげな顔で綾波レイに接していました。2人を見た碇シンジは驚いたような表情を見せていました。

綾波レイのプラグスーツには腕の部分まで覆うものとそうで無いものとがあるようです。22日前の起動実験時とこのケイジでの(更に、この後の再起動実験での)プラグスーツは腕の部分まで覆っていましたが、第壱話「使徒、襲来」でのプラグスーツは腕の部分を覆っていませんでした。第壱話「使徒、襲来」時の綾波レイは怪我を負っていた腕に包帯を巻いていましたので腕の部分を覆っていないプラグスーツを着用したのでは無いかと思われます。

起動実験時の綾波レイのプラグスーツ

22日前。起動実験時の綾波レイのプラグスーツ。腕の部分まで覆っている。

[ 画像引用元 : 新世紀エヴァンゲリオン (c) GAINAX ]

第壱話「使徒、襲来」時の綾波レイのプラグスーツ

第壱話「使徒、襲来」時の綾波レイのプラグスーツ。腕の部分を覆っていない。綾波レイは腕に怪我を負っていて、その腕には包帯が巻かれている。

[ 画像引用元 : 新世紀エヴァンゲリオン (c) GAINAX ]

現時点の綾波レイのプラグスーツ

現時点の綾波レイのプラグスーツ。腕の部分まで覆っている。

[ 画像引用元 : 新世紀エヴァンゲリオン (c) GAINAX ]

葛城ミサトのマンション

夜。赤木リツコが葛城ミサトのマンションに尋ねて来ていました。

赤木リツコ :
「レトルトを原料によくここまで」

夕食は葛城ミサトがレトルトを原料に作ったカレーでした。葛城ミサトはこれをカップラーメンに入れ、美味しそうに食べていました。一方、赤木リツコと碇シンジはこのカレーをご飯に掛けて食べていましたが...その表情からして美味しくは無かったようです。

このカレーはペンペンの夕食でもありました。これを食べたペンペンは一口食べただけで卒倒していました...。

食事の後、碇シンジは赤木リツコから綾波レイの更新カードを綾波レイのところに届けて欲しいと頼まれていました。

綾波レイのマンション

別の日。碇シンジは更新カードを届けるために綾波レイのマンションを訪れます。

綾波レイの部屋の前まで来た碇シンジはチャイムを押しますが、チャイムを押しても反応がありませんでした。そこで扉に手を掛けてみると扉には鍵が掛かっておらず、扉を開けた碇シンジは勝手に中へと入っていました。

玄関の中に入った後、碇シンジは玄関で一応の断りを入れますが、これにも返事が無く、ここでも碇シンジは勝手に玄関から部屋へと上がっていました。

反応が無いのに(反応が無い故に)何と無く中へと進んで行く...姫であれば、例え、鍵が掛かっていなくても、呼び掛けに誰も応えなくても、心理的な障壁が邪魔をして碇シンジのような行動は出来ないのですが、碇シンジの場合は責任感か好奇心か、臆病さが影響してそうさせたのか...。チャイムを押しても反応が無いから...扉に手を掛けたら鍵が掛かっていなかったから...玄関で呼んでも反応が無かったから...と言うのは、カードを届けなければならないとは言え、どれも自分の中での勝手な言い分であり、その言い分も強い自信があっての事ではなさそうですし、状況的な障壁が無ければ後は背中を押すものに従って行動してしまう人間のように見えました。どこかで犯罪者にならないように気を付けて欲しいものです...。

(碇シンジは第25'話「Air」では裸の惣流・アスカ・ラングレーを前にして自慰を行いますが、惣流・アスカ・ラングレーが意識不明な事、病室に自分と惣流・アスカ・ラングレーしかいない事、扉に鍵を掛ければ邪魔が入らなくなる事...と、状況的な障壁が低かった事(容易にそれが出来る状況が揃っていた事)が行為に至った要因の一つにあるような気がします。それでも通常は(碇シンジは渚カヲル殺害後であり、通常の精神状態とは言えませんでしたが、)心理的な障壁が働いて思い留まるはずなのですが...。)

綾波レイの部屋は玄関から部屋の奥へと靴の跡が続いていました。碇シンジは部屋に上がる時に玄関で靴を脱いでいましたが、綾波レイは靴を履いたまま部屋に上がっているようです。綾波レイの靴はベッドの横に脱いでありました。

綾波レイの部屋はものを片付けている様子が無く、汚れていました。また、ベッドの上の枕には血(のようなもの)の跡が見られ、冷蔵庫の横の箱の中には血(のようなもの)が付着した使用済みと思われる包帯があり、冷蔵庫の上には薬と水がありました。

部屋の中に入った碇シンジは小さなタンスの上にメガネを見付けます。碇ゲンドウがエントリープラグのハッチを抉じ開けようとした際に落としたメガネのようです。レンズにはヒビが入っていました。起動実験の事故後、綾波レイが保管していたようです。

碇シンジはこのメガネを手に取って顔に掛けます。そこにシャワー室と思われる場所から綾波レイが裸のまま出て来ます。綾波レイは碇シンジの姿を見付けると碇シンジに近寄って来て碇シンジからメガネを取り上げていました。

2人はその拍子にバランスを崩して転倒。碇シンジが綾波レイの上に覆い被さる形になっていました。碇シンジの左手は綾波レイの右胸の上にありました。

碇シンジは綾波レイの「どいてくれる」の言葉で慌てて綾波レイの上から離れて立ち上がります。綾波レイは裸である事を全く気にするような様子は見せず、碇シンジが離れた後、碇シンジの目の前で服を身に付け始めていました。

碇シンジはしどろもどろになりながら、カードを渡しに来た事を説明します。しかし、綾波レイは着替えを終えると碇シンジの話を最後まで聞かずに碇シンジを部屋に残したまま一人で外へと出掛けて行きました。

綾波レイ

この綾波レイの部屋の場面は今までほとんど分からなかった綾波レイの人物像が色々と見えて来る場面でした。

綾波レイは、玄関の扉に鍵を掛けていなかったり、郵便受けの中や靴箱の上に手紙が溢れていたり、部屋の中にまで靴を履いて入っていたり、服を脱いだまま畳まなかったりと、こう言った事を気に掛けていないようです。

また、碇シンジに裸を見られても胸を触られても何も思わないようであり、そう言った事も気にしていないようです。

下着は沢山持っているようです。チェストの中に仕舞ってありました。服はベッドの上に脱ぎ散らかしていましたが、下着はチェストの引き出しに仕舞われていて、扱いが違うように見えました。(引き出しはきちんと閉まってはいませんでしたが。)また、下着や靴下は洗濯して干しているようでした。部屋が汚れていても気にならないようでしたが、シャワーを浴びたり、下着を洗っていたりと身体的な汚れは気にしているようです。シャワー室と思われる場所から出て来た時もスリッパを履いていました。

綾波レイの部屋には生活を豊かにするためのものがほとんど見られませんでした。大型家電製品で確認出来たのは冷蔵庫だけです。だた、洗濯物を干しているところからすると洗濯機はあるのでは無いかと思われます。

綾波レイの部屋からは「ただ寝て起きるためだけの部屋」と言う印象を受けました。

綾波レイは大抵の事を気にせずに生活しているようでしたが、碇ゲンドウのメガネは大切にしているようでした。碇シンジの事は気にしていないようでしたし、クラスでも友達がいないようであり、人間関係には無関心なようでしたが、碇ゲンドウだけは別のようです。

綾波レイの家の玄関

玄関。扉には鍵が掛かっていない。手紙はポストに入れたまま、棚の上に置いたまま、床に落としたままになっている。

[ 画像引用元 : 新世紀エヴァンゲリオン (c) GAINAX ]

綾波レイの家の玄関の奥

玄関の奥。靴の跡が部屋の奥まで続いている。食器は洗い場に入れたままになっている。

[ 画像引用元 : 新世紀エヴァンゲリオン (c) GAINAX ]

綾波レイの部屋のベッドと椅子

綾波レイの部屋。左側。部屋の左側にはベッドと椅子がある。ベッドの上には脱いだままの服がある。ベッドの横にはここで脱いだと思われる靴がある。枕には血の跡がある。

[ 画像引用元 : 新世紀エヴァンゲリオン (c) GAINAX ]

綾波レイの部屋の冷蔵庫とチェスト

綾波レイの部屋。右側。部屋の右側には冷蔵庫とチェストがある。冷蔵庫の上には水(と思われる液体)と薬が置かれている。冷蔵庫の横にある箱の中には血の付いた包帯が入れられている。チェストの一番上の引き出しには沢山の下着が入っている。チェストの上には碇ゲンドウのメガネが置かれている。

[ 画像引用元 : 新世紀エヴァンゲリオン (c) GAINAX ]

ネルフ本部施設ゲート

綾波レイが部屋を出て行った後、碇シンジは綾波レイの後を少し離れて付いて行きました。

綾波レイはネルフ本部のゲートの前へとやって来ます。ですが、古いカードで本部ゲートを潜ろうとしたためゲートは開きませんでした。碇シンジはここで綾波レイに新しいカードを渡していました。

綾波レイは部屋での碇シンジの話をきちんとは聞いていなかったようです。

一方の碇シンジはここに着く前に綾波レイにカードを渡そうと思えば渡せる機会は十分にあったはずなのですが、ここまでカードを渡しそびれていたようです。

碇シンジは先程までは部屋の中に勝手に入り込んでまでカードを渡そうとしていたのですが(カードを渡す事を建前に興味が背中を押して部屋へと入り込んだと言うところもあるかも知れませんが)、部屋で渡しそびれた後はいつでもカードを渡せる状況に身を置きながらタイミングを計っていたようです。綾波レイの部屋での出来事や綾波レイの態度が影響しているとも思えますが、それが無かったとしても、対面すると相手に対しての消極性が出る人間なのかも知れません。(第壱話「使徒、襲来」で初対面の葛城ミサトに対して臆する様子も無く意地悪なものの言い方で言葉を返していたところを見ると、そうでは無いようにも思えますが。)

ゲートを潜った綾波レイと碇シンジは施設内をエスカレーターで降下。このエスカレーターでの移動中、碇シンジは自分から綾波レイに話し掛け、エヴァンゲリオン零号機に乗るのが怖く無いかと聞いていました。カードは切っ掛けが無いと渡せないようでしたが、これは「切っ掛け」では無く「機会」を使って聞いていました。

綾波レイ :
「あなた、碇指令の子供でしょ。信じられないの、お父さんの仕事が」

碇シンジ :
「当たり前だよ。あんな父親なんて」

この台詞を聞いた綾波レイは碇シンジの頬を掌で叩いていました。

碇シンジの気持ちを考えれば碇シンジの台詞は尤もなのですが、綾波レイからすると腹の立つ言葉だったようです。碇シンジが贅沢な事を言っているように感じたのかも知れません。

エヴァンゲリオン零号機 再起動実験

ネルフ本部に到着後、綾波レイはエヴァンゲリオン零号機の再起動実験に入っていました。

起動実験ではエヴァンゲリオン零号機は無事に起動。前回の起動実験の失敗原因は操縦者の精神的不安定が第一原因と考えられていましたが、今回の実験では失敗原因となるような事は何も起こらなかったようです。綾波レイはエントリープラグ内に碇ゲンドウのメガネを持ち込んでいましたが、これによって精神的不安定に陥らずに済んだのかも知れません。

第5使徒ラミエル襲来

起動実験が成功した中、第5使徒ラミエル(この段階では名前は不明)が襲来します。

エヴァンゲリオン零号機のテストは中断。エヴァンゲリオン零号機は起動には成功したものの戦闘には未だ使えないと判断され、第5使徒ラミエルに対しては碇シンジのエヴァンゲリオン初号機が出撃していました。

第5使徒ラミエルは八面体の形をしていました。第3使徒サキエル、第4使徒シャムシエルはまだ生物らしき形をしていたのですが、この第5使徒ラミエルは、生命体ではあるものの、その姿は人工物のように見えました。

第5使徒ラミエルは芦ノ湖上空に侵入。エヴァンゲリオン初号機が地上に送り出されましたが、そこに狙い済ましたように第5使徒ラミエルからの砲撃があり、エヴァンゲリオン初号機はそれを直撃で受けていました。

第伍話「レイ、心のむこうに」の終わりに

綾波レイに対しては「何事においても感心が希薄な人間」と言った印象を受けます。それは極端であるように見えましたが、この段階では「そう言う人間なのだろう」と思うだけであり、それ以上の事を推察させるような情報は見られませんでした。まだ綾波レイはただの「かなり変わった人間」です。

第伍話「レイ、心のむこうに」は綾波レイと碇ゲンドウとの関係が気になる回でもありました。碇ゲンドウは実の息子である碇シンジに対して距離を置いて厳しい態度で接する一方で、息子と同じ歳の血の繫がらない少女に対しては、恐らくは碇シンジには見せた事が無いような、柔らかい表情を見せたり、事故時に少女を助けるために自ら駆け寄って火傷を省みずに助け出したり...しています。綾波レイに就いてまだ表面的な事しか分からないこの段階では碇ゲンドウの本意は見えて来ず、誰にでも優しいと言う訳ではなさそうな碇ゲンドウの他とは違う綾波レイに対する接し方は不可解に感じました。そこには...自分の息子と同じ歳の少女、年端の行かない少女である綾波レイに対して、もしかすると歳の差を越えた特別な感情を抱いているのでは無いか...と言う推察が入り込む隙間もあり、そう言う大人がいると言う事を聞いた事もあったので、最初はそのような見方を捨てずに碇ゲンドウの事を見ていました。そうで無い事を願いながらも。(ただ、より生殖活動の残り期間が長い女性を男性が求める事は生物としては異常な事では無いと言う話(説?)をどこかで聞いた事があり、そのため、碇ゲンドウが例えそう言う大人であったとしても、生物的にはあるのだろうとは思いました。それを、生物的に正常か異常かと言う話とは別にして、「エヴァンゲリオン」の世界の中で法律や条令が許しているかどうかは分かりませんが。)

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